税務調査の受け方 - 中央区の税理士による起業開業を応援するブログ
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税務調査の受け方

税務調査と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?多くの方が、故・伊丹十三監督の「マルサの女」を思い浮かべるのではないでしょうか? しかし、あれは査察調査であって私たち税理士が立ち会う税務調査(任意調査)ではありません。

査察調査は、大型の脱税事案について、国税局の査察部が裁判所の令状をとって行う強制的な調査と考えてもらえればわかりやすい かも知れません。つまり脱税や不正処理の疑いが強く社会的影響が大きい相手に対して国税犯則取締法という法律に乗っとり、 調査を行うことによって証拠を集められ、検察官に告訴され裁判にかけられるというような状況を意味しています。

これに対して税務調査とは、申告納税制度という納税者の申告が正しいという前提の制度を補完するために設けられたシステムで あります。もし、税務調査が無くなったならば、どうでしょうか?多くの納税者は、真面目に記帳することもなく、正直な申告を行わないと思います。 そうすると、真面目に申告を行っている納税者とそうでない納税者の間に社会的公平性が保てないばかりか、申告納税制度という制度を維持する自体 が難しくなります。

そのため、税務調査は日本の申告納税制度を維持していくための重要な役割を担っているのです。

税務調査の始まり方には2種類あります。

・税務署から事前連絡があるケース
・税務署が突然来るケース

通常、任意調査の場合には事前に連絡のあるケースがほとんどですが、不正の疑いが強い場合や 一定の職種によっては、アポなし調査が行われることがあります。可能性として高いのが、飲食店、風俗関係 のような「現金商売」をしている会社や、大きな利益を出している会社、消費税の還付を受けた会社などです。

しかし、正当な理由があれば、税務署が突然来ても当然断ることができます。社長や税理士の都合がつかない 場合には調査の実行は難しいのではないでしょうか?そのような、状況が生じた場合には署員を中に入れず、社長は対応せずに 税理士にご連絡ください。

一方、事前連絡のあるケースは、税務調査を断ることはできません。しかし、実施される日時については交渉が 可能ですので、税理士との協議の上、十分に余裕を持った日程調整をされることをお勧めします。また、事前通知される情報 は必ずメモをとりましょう。

・調査の日時、場所、目的、税目、期間、帳簿書類
・調査の対象者である納税者の氏名及び住所
・調査を行う税務職員の氏名及び所轄税務署

これらの情報は、事前準備のための重要なものとなります。

調査は、原則として通常過去3年間分の帳簿、決算書類、証憑書類をチェックされます。しかし、その3年分のチェックの 過程で問題が生じた場合には、過去5年間、最悪過去7年間まで遡って調査されてしまうことになります。

そのため、過去3年間分の資料についてはできる限り見直して、十分な準備を行いましょう。

最低限用意するもの
・定款
・7年分用意するもの
 株主総会議事録 取締役会議事録 決算書 税務申告書 商品等の売買契約書 
 不動産等の売買契約書 リース契約書 銀行等との金銭消費貸借契約書 
 事務所等の賃貸契約書 その他の契約書
・5年分用意するもの
 主要簿(総勘定元帳、仕分伝票等)  補助簿(売掛金元帳、固定資産台帳等)
・3年分用意するもの
 取引関係(売上明細票、注文書、領収書綴等) 給与関係(給与明細書、源泉徴収簿等)
 経費関係(領収書、請求書、納品書等) 金融関係(預金通帳、当座預金照合表等)
 社内関係(旅費交通費計算書、棚卸表等)
・その他(社内労務規定、雇用契約書、役員報酬規定等)

調査前に確認しておくべき事
・帳簿のつじつまが会っているかどうか
・金庫 ロッカー 事務机 書類棚を整理整頓
・現金出納帳と金庫の現金金額が一致しているか
・付箋のついた帳簿や、未解決の処理メモはないか
・契約書と取引内容が一致しているか
・定款、各種議事録が作成・保管されているか
・各種届出が保管され、それに基づき税務処理されているか
・社内規定がきちんと整備されているか
・在庫表と実際棚卸資産は一致しているか


指摘されやすいポイント
・売上の計上時期(販売基準、出荷基準、検収基準)の継続適用
・交際費の内容(個人経費が含まれていないか等)
・在庫の計上漏れ(在庫調整をしていないか、前払い外注費計上漏れ等)
・売上の計上漏れ(現金商売では特に厳しいチェックあり)
・架空人件費(アルバイトを多く雇う業種において注意が必要)
・外注費(架空計上、給与と外注費の混同、源泉徴収漏れ)
・関連会社間の取引(適正価格取引か、取引実態はあるか等)
・役員退職金(相場と比べて高くないか)
・役員給与(家族への給与はみなし役員給与ではないか、高すぎないか)

調査日当日、税務職員は10時ちょうどに来ます。1日目は大体午前中を使って会社の概要について質問されます。 調査官によって質問される事項はばらばらですが、概ね次のようなことが質問されます。ここは、主に社長にお答え頂きます。
・最近の業界の状況
・会社の組織の仕組み
・従業員の数
・売上について営業から受注、納品、入金までの具体的な流れ
・売上の金額の決め方
・入金は振込みだけか、現金回収もあるのか
・売上はどのようなタイミングで計上しているか
・売上に関する帳票はどういったものがあるか
・売上の締め日はいつか、入金までの期間は
・給料の締め日はいつか、支払い日はいつか
・社長の趣味は
・会社を起こす前は何をしていたか
一通り質問が終わると、税務職員は調査に入ります。ここでは、指示された、帳簿や資料を提出するのみですので、社長と従業員 の方は通常の業務を行い、質問された場合には必要最小限の答えを行うようにしましょう。16時くらいになると、問題点を指摘 されたり、必要な資料を用意するように言われたりします。ここでは、下手に反論せずに調査官の指摘をメモするか録音しても いいかも知れません。
調査日が一日の場合はこれで終了となります。二日間ある場合でも調査と指摘が行われるのみとなります。

現地調査の終了後は、追加で書類の提出を求められていた場合には、速やかに対応しましょう。 また、調査の内容にもよりますが、調査の日から1週間~1ヶ月くらいで「是認」または「否認事項」の知らせが電話であります。 否認された場合、それに納得すれば「修正申告書」を作って税務署に提出し、追徴税額を納めて税務調査終了となります。

もちろん、否認事項に納得できない場合には修正申告を行うべきではありません。修正申告を一旦、提出してしまうと 税務署の処理に対して異議申し立てを行う機会が失われてしまいます。少しでも疑問や反論の余地があるならば、その旨を 税務署と協議する機会があります。

協議を行っても、なお両者の言い分に隔たりがある場合には、税務署から「更正」処分、すなわち一方的に税額を修正 されます。この更正処分に不服がある場合には税務署長に対して異議申し立てを行うことになります。

以上が税務調査の流れとなります。否認されない為には日ごろからの準備と正確な記帳処理が不可欠です。

三田潤一税理士事務所

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